ブログやWeb記事を見ていて、「東京の◯◯業者10選」とか「新宿でおすすめの◯◯会社まとめ」みたいな、あえて競合他社をずらっと紹介している記事を見かけたことはありませんか。本来なら"敵"にあたる同業他社を、地域ごとにわざわざ紹介する。あれ、一見すると「お客さんを取られるだけで損なのでは?」と思いますよね。
ところが、この一見おかしな作りには、ちゃんとしたSEO上の狙いがあったりします。今日お話ししたいのは、あえて競合を紹介するエリアページという、ちょっと逆張りな地域名SEO対策の話です。しかもこれ、私が13年ほど前に実際にやって、大きな成果が出た施策なんですよね。
前回はサービス名を検索ニーズから逆算して決める話をしましたが、今回はその続きで「エリア戦略」の話です。同じサービスなのに、なぜか特定の地域でしか検索結果に出てこない——そんな悩みを、ちょっと変わったアプローチで解決した実話を交えてお伝えします。
この記事でわかること
- Googleの検索結果が「地域」によって変わる仕組み(ローカル検索)
- 地名だけ差し替えた量産型エリアページが今は通用しない理由
- あえて競合を紹介する「ポータル型エリアページ」という逆転の発想
- 13年前に全国100ページを手作業で作り、UUを10倍にした実話
- 今日から始められるエリアページ戦略の具体的な5ステップ
私はホームページ制作と集客支援の仕事を10年以上、SEOという言葉が今ほど一般的でなかった20年近く前から、この業界の移り変わりをずっと見てきました。今回の話は、まだ誰もエリアページなんて言葉を使っていなかった時代に、手探りで挑戦した「SEOの生き証人」だからこそお伝えできる体験談です。
そもそもGoogleの検索結果は「地域」によって変わる
まず前提として、Googleの検索結果は、あなたがどこにいるかによって変わります。
Googleは、検索している人のIPアドレスなどから位置情報を取得して、それを検索結果に反映しているんですよね。だから、たとえば「パフェが美味しい喫茶店」と検索したとき、東京で検索した人と大阪で検索した人では、出てくるお店がまるっきり違います。当たり前と言えば当たり前で、東京にいる人に大阪の喫茶店を出しても、ほとんどの人は行けませんから。ユーザーは基本的に「自分の近くの情報」を求めている、とGoogleは考えているわけです。
逆に、場所にまったく関係のないキーワードなら、どこで検索しても結果はほぼ同じです。でも、少しでも「場所が関係するキーワード」だと、検索結果はかなりの確率で変わります。ここが厄介なところで、サービス自体は全国対応なのに、一部の地域でしか検索結果に表示されないという現象が起きるんです。
Googleがユーザーの現在地を検索結果に強く反映するようになったのは、いわゆる「ヴェニスアップデート」以降だと言われています。それ以前は全国どこで検索しても似たような結果でしたが、年を追うごとにこの地域性はどんどん強まってきました。私の実務感覚でも、会社が東京にあると、あるキーワードでは関東圏でしか上位に出ない、といったことが実際に起きています。もちろん、ドメインパワーが非常に強くてSEO対策をやり込んでいれば、都道府県を問わず全国で表示される可能性は高いのですが、それにはかなりの積み上げが必要です。
この「エリアによって表示されたりされなかったりする」という課題を解決するために生まれたのが、いわゆるエリアページと呼ばれるSEO手法です。地域名を軸にしたページを用意して、それぞれの地域の検索結果に食い込んでいく、という考え方ですね。
やってはいけないエリアページ|地名だけ差し替えた量産型
ただし、エリアページには「やってはいけない作り方」があります。
一番よくある悪い例が、基本の文章をテンプレート化して、地名の部分だけを差し替えて大量にページを量産するやり方です。たとえば「八王子市の◯◯でお困りの方へ。当社は八王子市で豊富な対応実績が……」という文章を用意しておいて、「八王子市」の部分を「立川市」「町田市」と機械的に入れ替えて、市区町村の数だけページを作る。こういう手法ですね。
これは昔、不用品回収業のようにエリアで全国展開している企業や、FC(フランチャイズ)チェーンで本当によく見られた手法でした。数年前から十数年前くらいまでは、正直これでもそこそこ効果が出ていたんですよね。地名を変えただけのページでも、地域名で検索されたときにそれなりに引っかかってくれた時代がありました。
今は「低品質・重複コンテンツ」と見なされる
今のGoogleは、こうした地名だけ差し替えた量産ページを、低品質コンテンツ・重複コンテンツとして判定するようになりました。中身がほとんど同じページを何十枚も並べても、評価されないどころか、サイト全体の評価まで下げてしまうリスクがあります。「作れば作るほど順位が上がる」どころか「作るほど足を引っ張る」状態になりかねない、ということです。
SEOの原則として、重複した内容のコンテンツは評価されにくい、というものがあります。Googleは「ユーザーにとって価値のある、独自の情報」を上位に出したいわけですから、どのページを開いても同じことしか書いていないサイトを高く評価する理由がないんですよね。だから、エリアページをやるなら「地名を差し替えるだけ」では今はもう通用しない。ここが出発点になります。
13年前、豊島区の会社で「新宿」に勝てなかった話
ここからは、私が13年ほど前に実際に体験した話です。
当時はまだ、オウンドメディアやブログでロングテールキーワードを狙ったり、エリアページで集客したりする会社は、本当にごくわずかでした。「エリアページ」という言葉すら、一般的ではなかった時代です。そんな頃、私が支援していたのは、東京都豊島区にある会社でした。サービス対象は日本全国なんですが、会社の所在地が豊島区、つまり池袋のすぐ近くだったんですね。
この会社、「◯◯+池袋」のようなキーワードでは、常に検索結果の1ページ目に表示されていました。地元ですから、これはまあ順当です。ところが、同じ「◯◯」でも「◯◯+新宿」で検索すると、まったくの圏外だったんです。池袋から新宿なんて、電車ですぐの距離ですよ。それでも出てこない。
「池袋ではあんなに上位なのに、なんで新宿だとうちのサイトが全然出てこないんですか? やってるサービスは同じなのに……」
試しに、ページの文章の中に無理やり「新宿」という単語を入れてみたりもしました。でも、これがまったく効かない。せいぜい5〜6ページ目に出るくらいで、そんな順位、誰もたどり着いてくれません。実質ゼロです。しかも困ったことに、当時は池袋よりも新宿のほうが検索ニーズ(検索ボリューム)が多かったんですよね。一番お客さんがいる場所に、一番リーチできていなかったわけです。
このときの悔しさが出発点だった
会社の所在地に引っ張られて、一番おいしい商圏(新宿)を丸ごと取りこぼしている。文中に地名を入れるくらいの小手先では、この壁はびくともしませんでした。「所在地の縛りをどうやって外すか」——これが、次の逆転の発想につながっていきます。
競合を紹介する「ポータル型エリアページ」という逆転の発想
そこで思いついたのが、地域ごとの競合他社を紹介する「ポータルサイト」のようなページを作る、という方法でした。
発想はシンプルです。「新宿エリアの◯◯会社 厳選10社紹介」みたいなページを作って、その地域の同業他社をちゃんと紹介してあげる。まさに冒頭でお話しした「東京の◯◯業者10選」型のページですね。地域名+業種で検索している人が本当に読みたい情報を、まるごと用意してあげるわけです。
もちろん、これはいわば諸刃の剣です。だって、自分のお客さんになるかもしれない人に、わざわざ競合他社を推薦してしまう形になるわけですから。普通に考えたら「なんでライバルを宣伝するんだ」という話です。でもここに仕掛けがあって、そのポータルページから、自社サービスのLP(ランディングページ)へバナーなどで誘導する導線を組み込んでおくんです。あくまで集客の"入口"としてページを機能させる、という発想ですね。
まず地域名+業種でしっかり検索上位を取って、たくさんの人に来てもらう。そのうえで「ちなみに、こういうサービスもありますよ」と自社へ橋を架ける。競合を紹介するページだからこそ、地域名で検索する人にとって中身がユニークで価値のあるコンテンツになり、Googleからも評価されやすい。これが狙いでした。
この施策を13年前にやったのは、当時としてはかなり珍しい試みでした。今でこそ「◯◯業者まとめ」型のポータル記事は当たり前にありますが、当時は同じことをやっている会社がほぼ皆無だったんです。だからこそ、競合がいないブルーオーシャンで、すんなり上位を取れました。ちなみにこの会社の支援は、その後11年ほど継続することになります。それだけ長く効果が続いた施策だった、ということです。
結果はどうだったか。最初はごくごく簡素な内容のページでした。それでも、あれだけ歯が立たなかった「◯◯+新宿」で、ついに検索1ページ目に表示されるようになったんです。あの瞬間の手応えは、今でもよく覚えています。
before(自社ページに地名を入れるだけ)
- 「◯◯+池袋」は1ページ目、「◯◯+新宿」は圏外
- 文中に「新宿」を入れても5〜6ページ目で効果ゼロ
- 一番ニーズの多い新宿商圏を丸ごと取りこぼし
- 会社の所在地(豊島区)に順位が縛られていた
after(競合紹介型のポータルページ)
- 「新宿エリア◯◯会社10選」で地域ニーズに応える
- 簡素な内容でも「◯◯+新宿」で1ページ目に表示
- ページ内のバナーから自社LPへ誘導する導線を設計
- 山手線沿線・地下鉄主要駅へ横展開しUUが5倍に
手応えを感じた私は、同じ要領で横展開しました。東京都内の山手線沿線の駅、それに地下鉄の主要駅すべてについて、同じようにエリアページを作っていったんです。新宿、渋谷、東京、上野……と、駅の数だけページを増やしていく。その結果、サイトのユニークユーザー数は、2倍どころか一気に5倍にまで増加しました。
東京だけで十分だったのが、全国100ページ手作業に至るまで
正直に言うと、最初は「東京都内だけで十分だろう」と考えていました。
理由は、13年前はまだローカル検索のロジックが今ほど発達していなかったからです。この会社は業界のNo.1クラスのキーワードで強かったので、当時は東京で検索しても大阪で検索しても、検索結果にそこまで大きな差がなく、全国どこでも常に1〜2ページ目を取れていました。だから「東京のエリアページさえ押さえておけば、あとは全国どこでも勝手に上位に出るし、これで十分」と踏んでいたわけです。
ところが、です。年々、Googleのローカルエリア検索のロジックが進化していきました。だんだんと、エリアによって検索結果が大きく異なる状況に変わっていったんですね。今まで全国で通用していた強さが、地域ごとに削られていく感覚がありました。これはまずい、と。そこで私は、東京以外の全国エリアでも同じ施策を展開する決断をしました。
これが、想像を絶する作業量でした。追加で100ページ近くを新規で作る必要があったんです。しかも当時はAIなんてありませんから、地域ごとの調査も、文章の執筆も、HTMLのコーディングも、ぜんぶ手作業。徹夜に次ぐ徹夜で、約3か月かけてなんとかやり切りました。今思い返しても、あれはよく完走したなと思います。
全国展開をやり切った結果、サイトのユーザー数は、施策を始める前と比べて最終的に10倍にまで増加しました。エリアによって表示されるページが違う、という状況にきちんと対応できたことで、あらゆる地域の検索結果に自社のページが出てくるようになったんです。問い合わせの多くは会社に近い東京・埼玉からでしたが、施策後は、時には静岡や大阪といった遠く離れた地域からも問い合わせが来るようになりました。全国対応のサービスが、ようやく本当の意味で「全国から」お客さんを集められるようになった瞬間でした。
ちなみに、この「地域によって検索結果が変わる」流れは、その後さらに強まっています。だからこそ、全国対応をうたっているのに実は特定エリアしか取れていない、という会社は、今も本当に多いんですよね。
この実話から学べる、今のエリアページ戦略の教訓
13年前の泥くさい体験から、今のあなたにも使える教訓を整理しておきます。
時代は変わってAIも使えるようになりましたが、根っこにある考え方は今もそのまま通用します。むしろ、ローカル検索が強まっている今のほうが、エリアページ戦略の重要性は増していると私は感じています。
エリアページ戦略5つの教訓
- 「テンプレ化して地名を差し替えるだけ」の量産型は、今は低品質・重複コンテンツと見なされ通用しない
- 差別化されたユニークなコンテンツにする一つの解が「競合紹介型のポータルページ」という逆転の発想
- 諸刃の剣ではあるが、自社サービスへの導線を適切に設計すれば集客の入口として機能する
- ローカル検索のロジックは年々進化するので、一度きりではなく継続的な見直しが必要
- 地道な作業量が必要な施策だが、AIが使える今なら当時よりはるかに効率的に着手できる
特に最後の点は強調しておきたいです。私が3か月かけて徹夜で作った100ページ分の調査や下書きは、今ならAIをうまく使えば、当時の何分の一かの労力で下地を作れます。もちろん、そのまま量産したら例の「重複コンテンツ」になってしまうので、地域ごとの独自性を人の手で足す工夫は必須です。でも、あの膨大な作業のハードルが下がった今こそ、エリアページ戦略に着手する絶好のタイミングだと思うんですよね。
今日から始めるエリアページ戦略の進め方(5ステップ)
ここからは、あなたの会社でも今日から試せる、エリアページ戦略の具体的な進め方をお伝えします。
難しく考える必要はありません。まずは自社が「どの地域で取れていて、どの地域で取れていないのか」を知るところから始めます。次の5ステップで進めてみてください。
自社の主要キーワードに、主要都市名やエリア名(◯◯+新宿、◯◯+大阪 など)を組み合わせて、実際に検索してみます。今どのエリアで何位に表示されているのかを一覧にして把握するのが出発点です。
順位が悪いエリアや、検索ニーズが高いのにまったく対応できていないエリアをリストアップします。私の場合の「新宿」のように、一番おいしい商圏を取りこぼしていないか、ここでしっかり確認します。
テンプレ化した量産ページではなく、そのエリアならではの中身を用意します。地域の競合紹介、地域特有の事例やお客様の声、そのエリアの傾向など、そこにしかない情報を盛り込むのがポイントです。
ポータル型のページを作る場合は、必ず自社サービスへの導線(LPへのバナーや申込リンクなど)をページ内に設置します。入口を作るだけで終わらせず、そこから自社につなげる流れまでをワンセットで設計してください。
いきなり全国100ページを目指す必要はありません。まずは狙いたいエリアから作り、順位やアクセス、問い合わせの変化を見ながら、うまくいったやり方を横展開していきます。私も東京都内で手応えを得てから全国へ広げました。
最後に、見直しのときに使えるチェック項目をまとめておきます。自社のエリアページ(や、これから作るページ)を眺めながら、あてはまるか確認してみてください。
- 主要キーワード+主要エリア名で、今の検索順位を実際に確認したか
- 順位の悪いエリア・未対応の高ニーズエリアを洗い出したか
- 地名だけを差し替えた、中身が重複するページを量産していないか
- 各エリアページに、そこにしかない独自の情報が入っているか
- 競合紹介型ページに、自社サービスへの導線を組み込んでいるか
よくある質問(FAQ)
エリアページや地域名SEO対策について、経営者やWeb担当者の方からよくいただく質問をまとめました。
Q競合を紹介してしまったら、お客さんを取られて損しませんか?
たしかに諸刃の剣です。ただ、ポータル型ページの目的は「地域名で検索する人をまず集めること」にあります。そのうえで自社サービスへの導線をきちんと設計しておけば、集客の入口として十分に機能します。何より、競合も紹介する中立的なページのほうがユーザーにとって価値が高く、地域名で上位表示されやすいという利点があります。全部を競合に流すのではなく、入口を広げて一部を確実に自社へ引き込む、という発想です。
Qエリアページは、もう作っても意味がないということですか?
そんなことはありません。意味がないのは「地名だけ差し替えた量産型」です。地域ごとに独自の情報を持たせたユニークなエリアページなら、今でも十分に効果があります。むしろローカル検索が強まっている今、地域ごとにきちんと作り込まれたページの価値は上がっています。「量産か否か」ではなく「独自性があるか否か」で判断してください。
Qドメインパワーの弱い中小企業でも、大手に勝てますか?
地域名+キーワードのような絞り込まれた検索では、中小企業にも十分チャンスがあります。全国区のビッグキーワードは大手が強いですが、「◯◯+特定の地域」まで絞れば競合はぐっと減ります。私が13年前に成果を出せたのも、まさにその領域が当時ガラ空きだったからです。小回りの利く中小企業ほど、エリア単位で丁寧に攻める戦略は向いています。
まとめ|エリアページは「独自性」と「導線」で考える
13年前、豊島区の会社で「新宿」に勝つために競合紹介型のポータルページを作った話は、今振り返っても、地味だけど確実に効いた施策でした。そして、その根っこにある「検索する人が本当に読みたいものを、地域ごとに用意する」という考え方は、今も色あせていません。
この記事の要点を、最後に3つに絞ってお伝えします。
- Googleの検索結果は地域で変わる。全国対応でも一部エリアしか取れていない会社は多い
- 地名だけ差し替えた量産型は今は低品質・重複コンテンツ。独自性のあるページが必須
- あえて競合を紹介するポータル型+自社への導線という逆転の発想が、集客の入口になる
あなたの会社は、狙いたい地域できちんと検索結果に出ているでしょうか。もし所在地の周辺でしか取れていないなら、一度エリアごとの順位を確認してみる価値があります。かつては徹夜で手作業だった施策も、AIが使える今ならぐっと着手しやすくなっています。前作でお話しした「相手の言葉で考える」考え方と同じで、結局は"その地域で検索する人"の目線に立てるかどうか。それが、エリア戦略の成否を分けると私は思っています。
ホームページ集客のご相談は、お気軽にどうぞ
受付時間:平日 10:00〜18:00