福岡県には、賃上げとセットでホームページ制作費が補助対象になり得る制度があります
福岡県で事業を営む経営者や個人事業主の方から、こんな声をよく耳にします。
- ホームページを新しく作りたいが、制作費の見積もりが思ったより高くて踏み出せない
- 福岡県で使える補助金を調べたが、国の制度ばかりで県独自の制度がよくわからない
- 「経営革新計画」や「賃上げ要件」という言葉が出てきて、仕組みが複雑で自社に使えるのか判断できない
——そんな悩みを抱えた福岡県の事業者の方から、多くのご相談をいただきます。
福岡県には、中小企業の経営向上と持続的な賃上げを後押しするための「福岡県中小企業経営革新・賃上げ緊急支援補助金」という制度があります。対象経費には「外注費」や「システム構築費」が含まれており、ホームページ制作やWebシステム構築の委託費用が補助対象に含まれる可能性があります。
ただし、この補助金は他の自治体のHP制作補助金とは仕組みが大きく異なります。まず福岡県の「経営革新計画」の承認を受けることが前提で、そのうえで補助金を申請する「2段階方式」です。さらに、補助を受けるには最低賃金の引き上げ(賃上げ)が必須条件になります。この記事では、その独特な仕組みを制作会社の目線でわかりやすく整理します。
この記事でわかること
- 福岡県中小企業経営革新・賃上げ緊急支援補助金の概要
- なぜ「経営革新計画の承認」が前提なのか(2段階方式の全体像)
- ホームページ制作費が対象経費に含まれ得る理由と、確認しておくべきこと
- 賃上げ額によって変わる補助上限額・補助率(最大135万円・3/4)
- 2026年(令和8年)の申請スケジュールと、つまずきやすい注意点
筆者は、中小企業や個人事業主のホームページ制作と補助金活用のサポートを行うWeb制作の担当者です。月額維持費0円の格安ホームページ制作サービス「ゼロラン」を運営しながら、補助金を活用したい事業者の見積書作成や申請スケジュールのご相談を数多くお受けしてきました。その実務経験から、福岡県のこの制度で押さえておくべきポイントをお伝えします。
福岡県中小企業経営革新・賃上げ緊急支援補助金とは?
深刻な人手不足や物価高のなかで、中小企業の経営向上を図り、持続的な賃上げにつなげるための補助金です。経営革新計画に基づく「新事業活動」に必要な経費の一部を、福岡県が補助してくれる制度です。
ポイントは、この補助金が「単なるホームページ制作費の補助」ではないという点です。あくまで経営革新計画に基づく新しい事業活動を支援するもので、その取り組みの中で必要になる経費を補助する、という位置づけになっています。
福岡県の案内によると、この補助金は「経営革新計画に基づく新事業活動に必要な経費の一部を補助する」制度とされています。経営革新計画とは、新商品開発や新サービスの提供など新たな事業活動を行うことにより、経営の相当程度の向上を図る事業計画のことです。(出典:福岡県中小企業振興センター)
では、ホームページ制作費はこの制度で補助されるのでしょうか。結論から言うと、対象経費に「外注費」「システム構築費」が挙げられているため、ホームページ制作やWebシステム構築の委託費用が含まれる可能性があります。ただし「ホームページ制作費」と明記されているわけではありません。
ここは断定できません
対象経費に「ホームページ制作費」という項目が直接記載されているわけではなく、あくまで「外注費」「システム構築費」に含まれ得るという整理です。実際に対象になるかどうかは、経営革新計画の内容とセットで判断されます。詳細は必ず福岡県中小企業振興センターへ事前に確認してください。
【最重要】この補助金は「2段階方式」経営革新計画の承認が前提
この制度で最初に理解すべきは、補助金を単独では申請できないという点です。まず福岡県から「経営革新計画」の承認を受け、そのうえで補助金を申請する——という2段階の手続きが必要になります。
他の自治体のHP制作補助金は「申請すればすぐ審査」という1段階のものが多いのですが、福岡県のこの制度は計画承認と補助金申請が別々になっている点が最大の特徴です。ここを知らずに「補助金だけ申請しよう」としても受け付けてもらえません。
まず商工会または商工会議所へ計画作成の相談を行い、策定指導員の指導を受けながら経営革新計画を作成します。申請書を提出して審査を経ると、書面で計画承認の通知が届きます。
経営革新計画の承認後に、補助金申請書類を作成・提出します。審査を経て補助金の交付決定を受けたら、補助事業を実施し、実績報告を提出して補助金額が確定します。
申請の必須条件として、令和7年(2025年)7月1日以降に福岡県から経営革新計画の承認(変更承認を含む)を受けていることが求められます。つまり、これから取り組む場合は「経営革新計画の承認をいつ受けるか」が最初の関門になります。
注意点
経営革新計画が承認された場合でも、補助金審査の結果、補助金が交付とならない場合があります。「計画が承認されたから必ず補助金がもらえる」とは限らない点に注意してください。
対象経費とホームページ制作費の関係
「ホームページ制作費は本当に対象になるのか」——これが最も多い質問です。補助要件に列挙されている対象経費は次のとおりです。
| 対象経費 | ホームページ制作との関係 |
|---|---|
| 設備機器導入費 | PC・サーバー機器など |
| システム構築費 | Webシステム・予約システム構築費が含まれ得る |
| 工事費 | 店舗・設備の工事など |
| 外注費 | ホームページ制作の委託費用が含まれ得る |
| 広告宣伝費 | チラシ・Web広告など |
表のとおり、ホームページ制作の委託費用は「外注費」、予約システムや会員システムなどのWebシステム構築費は「システム構築費」に含まれる可能性があります。新サービスの提供を実現するためのホームページやWebシステムであれば、経営革新計画の新事業活動と結びつけて説明できるケースが考えられます。
必ず事前確認を
繰り返しになりますが、対象経費に「ホームページ制作費」と明記されているわけではありません。実際に対象となるかは経営革新計画の内容によって判断されます。発注や契約を進める前に、必ず公益財団法人福岡県中小企業振興センター(電話 092-612-5003、平日8時30分〜17時15分)へ事前に確認してください。
賃上げ要件と補助上限額・補助率
この補助金のもう一つの大きな特徴は、賃上げが必須要件になっている点です。単なる経費補助ではなく、「賃上げとセットで経営向上を支援する」制度だと理解してください。
具体的には、補助事業終了時までに事業場内最低賃金を30円以上引き上げることが求められます。そして、引き上げる金額によって、適用される補助上限額と補助率が変わります。
| 事業場内最低賃金の引上げ額 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|
| 30円以上60円未満 | 120万円 | 2/3 |
| 60円以上 | 135万円 | 3/4 |
たとえば60円以上の賃上げを行えば、補助率3/4・上限135万円が適用されます。仮に対象経費が180万円なら、その3/4にあたる135万円が補助される計算になります(上限に達した場合)。賃上げのハードルはありますが、達成できれば手厚い支援を受けられる制度設計です。
ポイント
賃上げ要件は「達成できなければ補助を受けられない」必須条件です。自社の賃金体系で30円(または60円)の引き上げが現実的に可能かを、申請前にしっかり試算しておきましょう。無理のない範囲でどこまで引き上げられるかが、補助率・上限額を左右します。
2026年(令和8年)の申請スケジュール
2段階方式のため、スケジュール管理がこの制度の成否を分けます。経営革新計画の申請受付と、補助金の申請受付は別日程で、それぞれ複数回に分かれています。
経営革新計画の申請受付は令和8年(2026年)2月3日から、補助金の申請受付は令和8年(2026年)2月16日から始まります。各回の日程は次のとおりです。
| 回 | 経営革新計画 申請期間 | 補助金 申請期間(必着) |
|---|---|---|
| 第1回 | 2月3日〜2月20日 | 2月16日〜3月13日 |
| 第2回 | 2月24日〜3月16日 | 3月25日〜4月10日 |
| 第3回 | 3月17日〜4月7日 | 4月16日〜5月8日 |
| 第4回 | 4月8日〜5月8日 | 5月15日〜6月8日 |
| 第5回 | 5月13日〜6月8日 | 6月22日〜7月15日 |
順番に注意
補助金は、経営革新計画が承認された後に申請する必要があります。計画の承認には審査期間(おおむね1か月程度)がかかるため、補助金の申請回に間に合うよう、経営革新計画の申請は早めの回で動くのが安全です。策定指導の依頼期限は令和8年5月22日とされています。
なお、経営革新計画の提出先は時期によって異なります。2月3日〜2月20日は「福岡県行政書士会 福岡県経営革新形式審査事務局」、2月24日〜6月8日は「福岡県商工部スタートアップ推進課新分野推進係」が窓口です。提出先を間違えないよう気をつけてください。
相談事例:福岡の事業者が制度活用を検討したケース
ここで、実際にいただいたご相談をもとにした事例を紹介します(内容は個人が特定されないよう調整しています)。
「福岡県内で製造業を営んでいます。新しくオンラインでの受注サービスを始めたくて、専用サイトと予約システムを作りたい。県の補助金が使えると聞いたのですが、経営革新計画とか賃上げとか出てきて、正直よくわからなくて…。うちでも使えますか?」
このご相談では、まず「新しいオンライン受注サービスを始める」という取り組みが、経営革新計画でいう新事業活動に位置づけられそうだと整理しました。そのうえで、専用サイトの制作費は「外注費」、予約システムの構築費は「システム構築費」として、対象経費に含まれ得る可能性がある旨をお伝えしました。
ただし、実際に対象になるかは計画内容とセットで判断されるため、いきなり発注するのではなく「①商工会議所に経営革新計画の相談をする → ②福岡県中小企業振興センターに対象経費の確認をする → ③賃上げ幅を試算する」という順番で進めるようご案内しました。制作会社としては、対象経費の確認に必要な見積書の作成でお手伝いできる部分です。
この事例の教訓
大切なのは「HP制作費が対象になるか」を単体で考えず、新事業活動としての計画に落とし込めるかという視点で考えること。そして、思い込みで進めず、必ず振興センターへ事前確認することです。制作会社に早めに相談すれば、見積書の準備や段取りも一緒に組めます。
申請前に必ず知っておきたい注意点
ここが、この記事で最も伝えたいパートです。福岡県のこの補助金は仕組みが独特なため、次の3点を見落とすと「思っていた制度と違った」となりがちです。
注意点1:まず経営革新計画の承認が必要(2段階方式)
補助金だけを単独で申請することはできません。令和7年7月1日以降に福岡県から経営革新計画の承認を受けていることが前提です。計画づくりには時間がかかるため、逆算して早めに商工会・商工会議所へ相談しましょう。
注意点2:賃上げ(最低賃金30円以上引上げ)が必須
補助事業終了時までに事業場内最低賃金を30円以上引き上げることが必須要件です。単なる経費補助ではなく、賃上げとセットの制度です。自社で賃上げが実現可能かを先に確認してください。
注意点3:HP制作費は「含まれ得る」であって断定できない
対象経費に「ホームページ制作費」と明記されているわけではありません。「外注費」「システム構築費」に含まれ得るという整理です。契約前に必ず福岡県中小企業振興センターへ確認しましょう。承認されても補助金が交付されない場合もあります。
- 経営革新計画 → 補助金申請、の2段階の順番を守る
- 令和7年7月1日以降の経営革新計画承認があるか確認する
- 最低賃金を30円(または60円)以上引き上げられるか試算する
- HP制作費・システム構築費が対象になるか振興センターへ事前確認する
よくある質問(FAQ)
Qこの補助金でホームページ制作費は必ず補助されますか?
必ずとは言えません。対象経費に「外注費」「システム構築費」が挙げられているため、ホームページ制作やWebシステム構築の委託費用が含まれる可能性はありますが、「ホームページ制作費」と明記されているわけではありません。経営革新計画の内容と合わせて判断されるため、事前に福岡県中小企業振興センターへ確認してください。
Q経営革新計画とは何ですか?
新商品開発や新サービスの提供など、新たな事業活動を行うことにより経営の相当程度の向上を図る事業計画のことです。この補助金を受けるには、令和7年7月1日以降に福岡県からこの計画の承認を受けている必要があります。
Qいくらまで補助されますか?
賃上げ額によって変わります。事業場内最低賃金を30円以上60円未満引き上げる場合は上限120万円・補助率2/3、60円以上引き上げる場合は上限135万円・補助率3/4です。
Q申請はいつからできますか?
経営革新計画の申請受付は令和8年(2026年)2月3日から、補助金の申請受付は令和8年(2026年)2月16日から始まります。いずれも複数回に分かれており、補助金は経営革新計画の承認後に申請する必要があります。
まとめ:福岡県の制度を正しく理解して、賢くホームページを作ろう
福岡県中小企業経営革新・賃上げ緊急支援補助金は、経営革新計画の承認を前提とする2段階方式で、賃上げ要件を満たすことで最大135万円・補助率3/4までの支援を受けられる制度です。ホームページ制作費は「外注費」「システム構築費」に含まれ得ますが、断定はできないため、必ず事前確認のうえで進めることが成功の条件です。
福岡県 HP制作補助金・3つの重要ポイント
- まず経営革新計画の承認(令和7年7月1日以降)が前提の2段階方式。補助金は承認後に申請する
- 賃上げが必須。最低賃金30円以上で上限120万円・2/3、60円以上で上限135万円・3/4
- HP制作費は「外注費・システム構築費」に含まれ得るが断定不可。福岡県中小企業振興センターへ事前確認を
補助金を見据えたホームページ制作の見積り・段取りをまとめて相談できます
福岡県のこの制度は、経営革新計画の作成・賃上げ要件・対象経費の確認など、初めての方には少し複雑に感じられます。とくに対象経費の事前確認には、ホームページ制作やWebシステム構築の見積書が必要になります。
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