「ブログを一生懸命更新しているのに、問い合わせがなかなか増えない」
オウンドメディアに時間とお金をかけているのに、成果が見えづらい。そう感じている経営者やWeb担当者は少なくないはずです。アクセス解析で問い合わせの経路を確認しても、ブログ経由はほんの一部。「このまま記事を書き続ける意味があるのだろうか」と、社内で疑問の声が上がることもあるでしょう。
私は以前、起業関連のサービスを提供する会社で、SEO対策とホームページ運用を支援していました。そのとき、ブログの効果について非常に興味深い、そして正直なところ少し怖い経験をしました。
結論から言うと、ブログ・オウンドメディアの効果を「直接の問い合わせ経路」だけで判断すると、その価値を大きく見誤ります。この記事では、実際に1年間運用して分かった「問い合わせの8割は本サイト経由だった」という現実と、その後ブログを閉鎖したことで判明した「問い合わせが9割近く消えた」という矛盾した事実、そこから見えてきたオウンドメディアの本当の役割についてお話しします。
この記事でわかること
- 本サイト(サービスページ)とブログでは、そもそも狙う検索意図が違うこと
- 記事作成に想像以上の時間がかかる理由と、そこに潜むジレンマ
- 1年間運用して実測した問い合わせ経路(本サイト80%:ブログ20%)
- ブログを閉鎖したら問い合わせが9割減ったという矛盾した事実
- アクセス解析の「直接コンバージョン」だけでは見えない間接効果の正体
- オウンドメディアの効果を正しく評価するための視点
私は月額無料の格安ホームページ制作サービスを運営しながら、中小企業のSEO対策・ホームページ運用の支援を行ってきました。今回お伝えするのは一般論ではなく、私自身が実際に1年間現場で計測し、ブログを閉鎖したことで初めて気づいた一次情報です。オウンドメディアの効果に疑問を持っている方の判断材料になれば幸いです。
本サイトとブログでは狙う検索意図が異なる
現在、SEO集客に取り組む企業の多くが、自社サイト内にブログやオウンドメディアを設置し、継続的に記事を作成しています。検索数の多いビッグキーワードだけでなく、複数の言葉を組み合わせたロングテールキーワードでも上位表示を目指す方法は、今やSEO対策の王道といえるでしょう。
一方で、ブログ記事を増やせば、本当に問い合わせや売上が増えるのでしょうか。この疑問に答えるには、まず本サイトとブログでは「狙っている検索意図がそもそも違う」という前提を理解しておく必要があります。
取引や行動に近いキーワードを狙う本サイト
通常、トップページやサービス紹介ページでは、申し込みや問い合わせにつながりやすいキーワードを狙います。具体的には、商品やサービスの利用をすでに検討している人が検索する「トランザクショナルクエリ(取引型)」や「Doクエリ(行動型)」と呼ばれるキーワードです。
- ホームページ制作 東京
- 創業融資 サポート
- 税理士 無料相談
- 整体院 予約
このようなキーワードで検索する人は、すでに具体的なサービスを探しているため、問い合わせや申し込みにつながりやすい傾向があります。
「知りたい」が中心になるブログのキーワード
一方、ブログ記事で狙うのは「Knowクエリ」と呼ばれる、「何かを知りたい」という検索意図を持つキーワードが中心です。
- ホームページ制作の費用相場
- 創業融資に必要な書類
- 会社設立の流れ
- 腰痛の原因
こうした検索をする人は情報を集めている段階であり、必ずしもすぐに商品やサービスを申し込むわけではありません。そのため、ブログ記事はトップページやサービス紹介ページと比べて、直接的な問い合わせ率が低くなる傾向があります。
| 項目 | 本サイト・サービスページ | ブログ・オウンドメディア |
|---|---|---|
| 主な検索意図 | Do/取引型クエリ | Know/知りたい型クエリ |
| 読者の検討度 | 高い(今すぐ客) | 低い〜中(そのうち客) |
| 問い合わせ率 | 高い傾向 | 低い傾向 |
| 主な役割 | 成約・問い合わせの獲得 | 専門性・信頼性の蓄積、内部リンクの強化 |
それでも、専門性の高い記事を数多く掲載することで、サイト全体の情報量や信頼性を高められます。さらに、関連するページ同士を内部リンクでつなぐことでサイト構造が強化され、最終的には検索数の多いビッグキーワードでも上位表示されやすくなる、というのが一般的な考え方です。SSL化などの技術的な土台を含め、サイト全体の信頼性を高めるSEO対策と合わせて取り組むことで、その効果はより発揮されやすくなります。
記事を作成するには想像以上の時間がかかる
AIが発達したことで、以前に比べれば記事の作成や投稿はかなり楽になりました。しかし、それでも質の高い記事を作成するには、相当な時間がかかります。
単に文章を書くだけではありません。記載する情報に誤りがないかを確認し、読者にとって分かりやすい構成を考え、どのような見出しにするかを決める必要があります。さらに、挿絵や画像を選び、必要に応じてHTMLやCSSを調整し、既存ページとの内部リンクも設定しなければなりません。
実際には、文章を書く時間以上に、企画や情報整理に時間を取られることも珍しくありません。
オウンドメディア運営のジレンマ
その時間が問い合わせや売上につながるのであれば問題ありません。しかし、ブログやオウンドメディアの記事は知識系のキーワードが中心であるため、直接問い合わせにつながりにくいという側面があります。ここに、オウンドメディア運営の大きなジレンマがあります。
このジレンマを、私は実際の現場で数字として突きつけられることになりました。ここからは、私が競争の激しい業界でSEO対策とホームページ運用を支援したときの、生々しい実体験です。
【実体験】競争の激しい起業関連サービスでSEO対策を担当
その会社は、起業に関連するサービスを提供していました。この業界は近年、競争が非常に激しくなっています。同業他社だけでなく、成果報酬を目的としたアフィリエイトサイトも数多く参入していました。そのため、検索結果で上位を目指すには、サービスを提供する競合企業だけでなく、情報量の多いアフィリエイトメディアとも戦わなければなりません。
業界内で最も検索数の多いビッグキーワードでは、複数の企業やメディアが激しい順位争いを繰り広げていました。その会社の本サイトでは、サービスごとに個別ページを設け、ほぼすべての下層ページに検索流入を得るためのキーワードを設定していました。トップページだけで上位表示を目指すのではなく、それぞれのサービスページでもSEO対策を行う構成です。
ブログは半分ポータルサイトのような構成だった
ブログでは、主に2種類の記事を掲載していました。一つは、起業やサービスに関する知識・ノウハウ記事です。もう一つは、地域ごとに競合となる同業他社を紹介する記事でした。そのため、ブログ全体を見ると、半分は業界のポータルサイトのような構成になっていました。
「なぜ自社のブログで、わざわざ競合他社を紹介する記事を書くんですか?」当時、クライアントからも何度もそう聞かれました。
しかし、現在のSEO対策において、地域性の強いキーワードで上位表示を目指す場合、このような考え方が必要になることがあります。例えば、特定の地域でサービスを探している人に対して、その地域にある複数の事業者やサービスをまとめて紹介する記事を用意します。自社だけを紹介するのではなく、検索ユーザーが知りたい情報を幅広く掲載することで、検索結果からアクセスを集めやすくする方法です。
競合他社を紹介することになるため、ある意味では諸刃の剣です。それでも、アクセスを集めるという点では、一定の効果がありました。そして後から振り返ると、この地域紹介記事こそが、後半の「事件」の伏線になっていたのです。
問い合わせの80%は本サイト経由だった
本サイトのトップページやサービス紹介ページは、問い合わせを獲得するためのランディングページとして作り込んでいました。そこで、Googleアナリティクスを利用して、どのページを入口として問い合わせに至ったのかを調査しました。計測期間は1年間です。問い合わせ完了後に表示されるサンクスページを目標として設定し、ユーザーが最初に訪れたランディングページごとに問い合わせ数を集計しました。
当時、ブログには約200記事が掲載されていました。その結果は、次のとおりです。
1年計測の実測データ
- 計測期間:1年間/ブログ記事数:約200記事(うち約20%が地域名を含む記事)
- 本サイト(トップページ・サービス紹介ページ)経由の問い合わせ:約80%
- ブログ記事経由の問い合わせ:約20%
- ブログ経由の内訳では、知識系記事より地域名を含む記事からの問い合わせが多い傾向
正直に言えば、私はもう少し多くの問い合わせがブログ経由で発生していると予想していました。約200記事も掲載していたため、ブログが問い合わせ獲得に大きく貢献していると思っていたのです。しかし、実際には問い合わせの約8割が、サービスの利用や契約に近いキーワードから発生していました。
考えてみれば、当然の結果ともいえます。情報を知りたい人よりも、すでにサービスを探している人のほうが、問い合わせに至る可能性は高いからです。この時点での私の評価は「ブログはやはり脇役。主役はサービスページのSEOだ」というものでした。ところが、この結論は半分しか正しくなかったと、後で思い知らされることになります。
ブログを閉鎖した後に問い合わせが激減した
ところが、この話には続きがあります。その後、料金面で折り合いがつかず、クライアントとの契約は終了することになりました。契約終了に伴い、運営していたブログも閉鎖することになりました。
ブログ以外にもさまざまな内部SEO対策や外部SEO対策を行っていたため、ブログを削除した直後に本サイトの検索順位が大きく下がることはありませんでした。業界内で最も重要なビッグキーワードについても、それまで15位から7位前後を維持していました。サービス紹介ページなど、下層ページの検索順位にも、それほど大きな変化は見られませんでした。
順位という指標だけを見れば、サイトの地力はほぼ保たれていた。私の頭の中の計算は、こうでした。「ブログ経由の問い合わせは全体の20%。ブログが消えればその20%が失われるが、残り80%は本サイト経由だから維持されるはず」。ごく素直な引き算です。
計算上の期待値
- ブログ経由の20%が消失
- 本サイト経由の80%は維持
- → 問い合わせは2割減程度で済むはず
実際に起きたこと
- 主要ビッグキーワードの順位は7位前後を維持
- 下層ページの順位も大きくは落ちず
- → なのに問い合わせは前年比で約90%減
実際には、問い合わせ件数が前年と比較して約10%にまで落ち込みました。つまり、問い合わせの約90%が失われたことになります。これは非常に不思議な結果でした。アクセス解析上、ブログを入口とした問い合わせは全体の約20%だったはずです。単純に考えれば、ブログを削除したことで減少する問い合わせも、20%程度に収まるはず。ところが、本サイトの検索順位が大きく下がっていないにもかかわらず、問い合わせだけが激減したのです。
削除して初めて分かった落とし穴
アクセス解析上の直接コンバージョンだけを見ていると、ブログの本当の貢献度は見えません。「直接の問い合わせは20%しかないから、閉鎖しても影響は小さいはずだ」という判断こそが、最も危険だったのです。
なぜこうなったのか——2つの仮説
なぜ、このような結果になったのでしょうか。私はこの急落の原因を考え、2つの仮説にたどり着きました。
①ブログから直接問い合わせない人が多かった可能性
一つ目の理由として考えられるのが、ブログ記事を読んだ人が、その場では問い合わせをしていなかったことです。ユーザーは最初にブログ記事を通じて会社やサービスを知ります。しかし、その時点では申し込みをせず、一度サイトから離れていた可能性があります。その後、会社名やサービス名を検索したり、ブラウザの履歴やお気に入りからトップページを訪れたりして、改めて問い合わせをしていたと考えられます。
この場合、Googleアナリティクス上では、問い合わせの入口がトップページ(指名検索経由)として計測されることがあります。しかし、実際に会社を知る最初のきっかけはブログ記事です。つまり、ブログは問い合わせの直接的な入口ではなく、認知や比較検討の最初の接点として機能していた可能性があります。このようなケースが、私の予想以上に多かったのでしょう。
直接の問い合わせには至らなかったものの、その過程で間接的に貢献した接点のことを「アシストコンバージョン」と呼びます。最初の認知を担ったチャネルの価値は、最後の接点だけを見る計測では過小評価されがちです。
②地域記事が本サイトの検索表示を支えていた可能性
もう一つ考えられるのが、地域ごとに作成していた記事の影響です。ブログでは、全国の地域を対象として、「地域名+主要キーワード」の組み合わせで上位表示を狙っていました。例えば、「新宿区+サービス名」や「大阪+主要キーワード」といった検索です。
こうした地域記事が評価されていると、その地域にいるユーザーが主要キーワードだけを検索した場合でも、本サイトや関連ページが比較的上位に表示されることがあります。現在のGoogle検索では、ユーザーが検索している場所によって検索結果が変わります。検索キーワードに地域名を入力していなくても、ユーザーの現在地に合わせて、近隣の企業や地域との関連性が高いサイトが表示されることがあるのです。
1認知の土台が消えた
ブログという入口がなくなり、新規ユーザーがそもそも会社を知る機会が激減。指名検索や再訪問の母数そのものが枯れてしまった。
2ローカル表示機会が消えた
地域ごとの競合企業を紹介するブログ記事を削除したことで、各地域との関連性を示すコンテンツが失われた。その結果、地方にいるユーザーが主要キーワードだけで検索した場合、本サイトが表示されにくくなった可能性がある。
全体的な検索順位だけを確認していると、この変化には気づきにくいものです。特定の場所から検索した順位は維持されていても、別の地域ではほとんど表示されなくなっていた可能性があります。
ブログの効果は直接的な問い合わせ数だけでは判断できない
この経験から分かったのは、ブログやオウンドメディアの効果は、ブログ記事から直接発生した問い合わせ数だけでは判断できないということです。
アクセス解析では、最後に訪れたページや問い合わせ時の流入経路が重視されます。しかし、ユーザーが会社を知った最初のきっかけや、比較検討の途中で読んだ記事までは、正確に把握できないことがあります。ブログ記事を読んだ後、数日後に会社名で検索して問い合わせをした場合、問い合わせは指名検索やトップページ経由として計測される可能性があります。
そのため、表面的な数字だけを見ると、ブログは問い合わせにあまり貢献していないように見えることがあります。しかし、ブログを削除した途端に問い合わせが大きく減少するのであれば、実際には認知、信頼形成、再訪問、地域検索など、さまざまな形で本サイトを支えていたことになります。ホームページ集客の本質を考えるうえでも、「売れる仕組み」としてのサイト全体の設計を見直す視点が欠かせません。
ブログはすぐに売上を生むものではない
ブログやオウンドメディアは、記事を公開した直後から大量の問い合わせを生み出すものではありません。記事を作成するには時間も手間もかかります。200記事を掲載しても、ブログから直接問い合わせる人は全体の2割程度に見えることもあります。
その数字だけを見れば、「ブログを続ける意味はない」と感じるかもしれません。しかし、ブログ記事が検索ユーザーと会社の最初の接点になり、その後の指名検索や問い合わせを生み出している可能性があります。さらに、記事数が増えることで、サイト全体の専門性や地域との関連性が高まり、サービスページやトップページのSEO評価を間接的に支えていることも考えられます。
ブログの価値は、記事から直接入った問い合わせ数だけでは測れません。サイト全体の検索流入、指名検索数、地域ごとの表示回数、再訪問数、問い合わせ件数の推移などを総合的に見る必要があります。
- 直接コンバージョン(問い合わせ経路)だけでなく、指名検索数の推移を追う
- GA4などでアシストコンバージョン(間接効果)を確認する
- 地域名×キーワードの表示回数・順位を、面(エリア)で把握する
- 新規ユーザー数・再訪問(リピート)ユーザー数の変化を見る
- 「この記事を消したら何が失われるか」という視点で価値を評価する
よくある質問(FAQ)
Q「オウンドメディアは効果がない」と聞くことがありますが、本当ですか?
直接の問い合わせだけを見ると、効果が小さく見えるのは事実です。しかし、指名検索や再訪問を生む認知の土台、地域検索の下支えといった間接効果まで含めると、貢献は決して小さくありません。「効果がない」と言われる多くは、効果測定の見方が直接コンバージョンに偏っているケースです。
Qブログ経由の問い合わせが少ない場合、記事を書く意味はありますか?
あります。知りたい系(Knowクエリ)の記事は、その場では問い合わせにつながらなくても、会社を知ってもらう最初の接点になります。後日の指名検索・再訪問につながり、サイト全体の評価や地域での表示機会も底上げします。
Qオウンドメディアの効果を正しく測るにはどうすればよいですか?
問い合わせ経路の直接計測だけに頼らず、指名検索数の推移、GA4のアシストコンバージョン、地域名×キーワードでの表示回数・順位を合わせて確認することをおすすめします。「この記事を消したら何が失われるか」という視点で見直すと、間接効果に気づきやすくなります。
Q中小企業でもオウンドメディアの効果は出ますか?
出ます。むしろ広告予算の限られる中小企業ほど、資産として積み上がるオウンドメディアの恩恵は大きいといえます。地域名を掛け合わせたエリアクエリなど、大手が手を出しにくいニッチな検索意図を丁寧に拾うことで、地域での露出と認知を着実に増やせます。
結論:ブログは見えないところで問い合わせを支えている
ブログやオウンドメディアには効果があります。ただし、その効果は、記事を読んだ人がその場ですぐに問い合わせるという、単純なものではありません。ブログ記事をきっかけに会社を知り、後日、会社名を検索して問い合わせる人もいます。地域記事が全国各地での検索表示を支えている場合もあります。専門性の高い記事を蓄積することで、サービスページやトップページの検索順位が支えられている可能性もあります。
今回の事例では、アクセス解析上、ブログから直接発生した問い合わせは約20%でした。しかし、ブログを閉鎖すると、問い合わせは前年の約10%にまで減少しました。この結果を見る限り、ブログは直接的な問い合わせ以上に、サイト全体の集客を裏側から支えていたと考えられます。
記事作成には、多くの時間と労力が必要です。短期間で目に見える成果が出ないこともあります。それでも、ブログやオウンドメディアを単なる「問い合わせを直接獲得するページ」としてではなく、ユーザーとの最初の接点をつくり、本サイトのSEO評価や信頼性を支える資産として考えることが重要です。
この記事のまとめ
- 本サイトは取引型・Doクエリ、ブログはKnowクエリと役割が違い、ブログの直接問い合わせ率が低いのは設計上当然
- 1年計測の結果、問い合わせは本サイト80%:ブログ20%。しかしブログ閉鎖後、問い合わせは前年比約90%減という矛盾が発生
- 背景には①指名検索・再訪問を生む認知の土台、②地域記事によるローカル検索の下支え、という直接計測では見えない間接効果があった
- オウンドメディアの効果は直接コンバージョンだけで判断せず、指名検索・アシストコンバージョン・地域表示まで含めて評価する
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