ホームページを作るとき、多くの経営者さんはトップページのデザインやキャッチコピーに一番力を入れます。もちろんそれ自体は正しいんですが、実は集客の入口になっているのは、その奥にある「サービス紹介の下層ページ」だったりするんですよね。ここが単なる商品説明で終わっている会社が、本当に多いんです。
今日お伝えしたいのは、サービス名を会社の都合で決めるのではなく、検索ニーズから逆算して決めてしまうという発想です。ちょっと乱暴に聞こえるかもしれませんが、これが零細・中小企業にとっては、大手に勝てる数少ない武器になります。
以前の記事では、検索キーワードを「会社名」に取り入れてしまう指名検索SEOの話をしました。今回はその続きで、"社名"ではなく"サービス名"を検索ニーズから決めてしまう、という一歩踏み込んだ話です。15年前に私が実際にやって、地味だけど確実に効いた施策の実話を交えてお話しします。
この記事でわかること
- なぜ下層ページ(サービス紹介ページ)こそ集客の入口になるのか
- 検索ニーズからサービス名を逆算して決めた15年前の実話
- サジェスト・トランザクションキーワードの拾い方と活かし方
- これが零細・中小企業の強みになる理由(大手にできない小回り)
- 自社の下層ページ・サービス名をSEO視点で見直す具体的な進め方
私はホームページ制作と集客支援の仕事を10年以上、SEOという言葉が今ほど一般的でなかった20年近く前から、この業界の移り変わりをずっと見てきました。今回の話は、そんな「SEOの生き証人」だからこそお伝えできる、少し昔の成功パターンです。
昔のSEOは「トップページ至上主義」だった
昔のSEO対策は、とにかくトップページを作り込むのが当たり前でした。
今から15年、20年ほど前を思い出すと、SEO対策と言えばトップページの話がほとんどでした。会社の顔だから当然と言えば当然なんですが、そのぶん下層ページ、つまりサービス紹介ページはかなり軽視されていたんですよね。「トップで検索順位を上げて、あとは中身を見てもらえればいい」くらいの温度感だったと思います。
だから当時のサービス紹介ページは、たいてい「うちはこんなサービスをやっています」という商品説明で終わっていました。これは今でも根強く残っている傾向で、下層ページが自社目線の商品カタログのままになっている会社は、いまだにたくさんあります。
トップだけ磨いても反響が出ない
トップページのデザインとSEOにお金をかけたのに問い合わせが増えない、という相談は昔も今も本当に多いです。原因の多くは、実際にお客さんが検索してたどり着く下層ページが、検索ニーズを一切反映していないこと。トップは「会社を知ってもらう場所」ですが、成約に近い人が入ってくるのは、たいてい具体的なサービス名や悩みで検索した先の下層ページなんです。
私はずっと「サービス紹介の下層ページこそ、集客の入口になり得る」と考えてきました。トップページは立派な玄関ですが、お客さんが本当に欲しいものを探して入ってくる勝手口は、実は下層ページのほうなんですよね。
電話代行のお客さんから受けた相談|15年前の実話
この考え方に確信を持ったのは、15年ほど前のある相談がきっかけでした。
当時、ある「電話代行業界」のお客さんから、ホームページ制作とSEOの相談を受けていました。電話代行というのは、秘書代行とも呼ばれるサービスで、主に個人事業主や一人で起業した方に代わって、かかってきた電話を取り次いでくれるものです。業界名は伏せますが、ニッチだけれど確かな需要のある世界でした。
相談内容は「ホームページからの反響が少ない」というもの。それでリニューアルを任されることになったんですが、もともとのサイトを見てみると、電話代行とそのオプションを、たった1ページにぜんぶまとめて紹介していたんです。当時としてはよくある作りでした。
「サービス内容はちゃんと書いているつもりなんですが、なかなか問い合わせにつながらなくて……。何が足りないんでしょうか?」
この「1ページに全部入り」というのが、実はもったいなさの塊でした。サービスが複数あるのに、検索する人はそれぞれ違う言葉で、違うニーズを持って探しているのに、それを一枚のページで受け止めようとしていたわけです。まずは、お客さんが実際にどんな言葉で検索しているのかを、丁寧に調べるところから始めました。
このときの気づき
反響が出ない下層ページの多くは、「サービスの数」と「ページの数」が合っていません。3つのサービスがあるなら、本来は検索ニーズごとに3枚のページが必要なのに、1枚に押し込んでしまう。これでは、それぞれのニーズで検索した人にちゃんと刺さりません。
検索してわかった「拾われていないニーズ」
「電話代行」と実際に検索窓に打ち込んでみると、思っていた以上に多様なニーズが見えてきました。
サジェストキーワード、つまり検索窓に言葉を入れたときに自動で出てくる候補や、検索広告の関連キーワードのデータを見ていくと、ユーザーが電話代行に対して抱いているニーズは一つではないことがはっきりわかったんです。ここが今回の話の一番おもしろいところでした。
たとえば「電話代行 バーチャルオフィス」「電話代行 住所貸し」といった、ニッチだけれどしっかり検索されているキーワードがありました。こういう言葉で検索する人は、電話代行を使いつつ、住所貸し(バーチャルオフィス)のオプションも一緒に検討している、かなりニーズの高い見込み客なんですよね。ふわっと情報収集している人ではなく、もう「使うつもり」で探している人たちです。
こうした「〇〇+△△」という組み合わせのキーワードは、SEOの世界で言うロングテールキーワードやトランザクションキーワード(購入・申込に近い検索語)にあたります。検索ボリューム自体は少ないのですが、購入や問い合わせといったコンバージョンに直結しやすいのが特徴です。私の実務経験でも、この手のキーワード経由の人は、成約率が明らかに高い傾向がありました。いわば「お金を生むキーワード」です。
逆に言うと、検索数の大きいビッグキーワードばかり追いかけていると、こういう小さいけれど濃いニーズは、そっくりこぼれ落ちてしまいます。当時の私は「このニーズを拾わない手はないな」と思いました。だって、探している人が確実にいるのに、それに応えるページが存在しなかったんですから。
サービス名を検索ニーズから逆算して決めた
そこで私が提案したのは、サービス名を会社の方針で決めるのをやめて、検索ニーズからサービス名を逆算して決めてしまう、という方法でした。
もともと「住所貸し」はオプションの一つとして、こっそり存在しているだけでした。でも「電話代行 バーチャルオフィス」で検索している人がいる以上、その言葉に合わせてサービスを組み直したほうがいい。そう考えて、住所貸しのオプションを、検索ニーズの言葉そのままに「バーチャルオフィス+電話代行パック」といった趣旨の名前に付け直したんです(呼称はぼかしていますが、こういう発想です)。
そして、そのサービス名で1ページまるごと専用ページを作りました。サービスの説明だけでなく、実際の利用シーンやお客様の事例といったオリジナルコンテンツも足して、そのニーズで検索してきた人がちゃんと納得できる中身にしたんです。
before(1ページ全部入り)
- 電話代行もオプションも1ページに混在
- 住所貸しは目立たないオプション扱い
- 「電話代行 バーチャルオフィス」で検索してもヒットしにくい
- ニーズが濃い見込み客をこぼしていた
after(ニーズ別に専用ページ化)
- 検索ニーズの言葉でサービス名を命名
- 専用の下層ページ+事例・利用シーンを掲載
- 「バーチャルオフィス 電話代行」で上位表示
- 住所貸しの契約が定期的に発生するように
結果は、はっきり出ました。「バーチャルオフィス 電話代行」といった検索で、当時は上位表示できたんです。検索ボリューム自体はニッチで少ないんですが、コンバージョンにつながりやすいトランザクションキーワードを確実に押さえられた。この施策以降、それまでほとんど需要のなかった住所貸しオプションの契約が、定期的に増えるようになりました。
味をしめた私たちは、同じ発想で横展開しました。「電話代行 短期」で検索するニーズも多かったので、今度は「電話代行 短期パック」のようなサービスを新しく作ったんです。サジェストキーワードからユーザーニーズを見つけて、それに合わせて商品・サービスのほうを作る。これは、良い商品を作ってから売り方を考える通常の商品開発とは、まるっきり逆の発想でした。
この施策の教訓
- サービス名は「社内の呼び方」ではなく「検索される言葉」で決める
- ニーズごとに専用の下層ページを立て、事例など固有の中身を入れる
- 検索ニーズが先、商品・サービスは後。逆算でこそ空白を埋められる
なぜこれが零細・中小企業の強みなのか
この「検索ニーズからサービス名を決める」というやり方は、実は零細・中小企業ほど有利にできる施策です。
というのも、普通の会社、特に大手になればなるほど、サービス名やサービス内容を検索キーワードに合わせてホイホイ変えることはできません。ブランドガイドラインがあったり、サービス名一つ変えるのに何段階もの社内稟議が必要だったり。「検索でこの言葉が伸びてるので、明日から名前変えましょう」なんて、大企業ではまず通らない話なんですよね。
小回りこそ最大の武器
零細企業・中小企業の一番の強みは、意思決定のスピードです。社長が「それ、いいね」と判断すれば、その日のうちにサービス名を決めて、来週には専用ページを公開できる。この機動力は、どれだけ予算のある大手でも簡単には真似できません。SEOにおいては、この「すぐ試せて、すぐ直せる」小回りが、そのまま競争力になります。
私が電話代行のお客さんと一緒にサービス名を決められたのも、相手が社長さん自身で、その場で「じゃあそれでいきましょう」と決断できたからでした。組織が大きかったら、あの提案は絶対に通っていなかったと思います。規模が小さいことを引け目に感じる経営者さんは多いですが、こと検索マーケティングにおいては、小さいことはむしろ強烈なアドバンテージなんです。
「オウンドメディア」全盛の今との対比
今でこそ「ロングテールキーワード」や「オウンドメディア」は当たり前の言葉ですが、15年以上前は、ほとんどの会社がそこに目を向けていませんでした。
当時この発想を実行している会社は本当に少なくて、言ってみればブルーオーシャンでした。だからこそ、ニッチなキーワードでも比較的あっさり上位表示できたわけです。今は状況が変わって、プラン別・ニーズ別にページを分けている会社もずいぶん増えてきました。その意味では、昔ほど簡単ではありません。
「ページを分けただけ」で満足しない
気をつけたいのは、プラン別にページを分けること自体が目的になってしまうケースです。ページを増やしても、その構成が検索キーワードのニーズを反映していなければ、ただページ数が増えただけで終わります。大事なのは「分けたか」ではなく「検索ニーズに沿って分けたか」。ここを取り違えると、労力の割に成果が出ません。
本当に重要なのは、そのページ構成が検索キーワードのニーズをちゃんと反映しているか、という一点に尽きます。自社の都合でサービスやページ構成を考えるのか、それとも検索キーワード=ユーザーが本当に欲しいものを優先できるのか。この違いが、今の時代はますます効いてくると思っています。前作でお話しした指名検索の話と根っこは同じで、結局は「相手の言葉」で考えられるかどうか、なんですよね。
下層ページ・サービス名をSEO視点で見直す進め方
ここからは、あなたの会社でも今日から試せる、具体的な進め方をお伝えします。
難しく考える必要はありません。要は「お客さんが使っている言葉」を拾って、それに合わせてサービスとページを整えるだけです。次の5ステップで進めてみてください。
自社のメインサービスに関連するサジェストキーワードや、検索広告の関連キーワードを洗い出します。検索窓に自社サービスの言葉を打ち込んで、出てくる候補をメモするだけでも十分な出発点になります。
その中から、検索数は少ないけれど確実に検索されている「〇〇+△△」の組み合わせ(トランザクションキーワード)を拾います。申込・購入・相談に近い言葉ほど狙い目です。
既存のオプションや付帯サービスの中に、そのキーワードに合致するものがないか探します。多くの場合、答えはすでに社内にあって、ただ埋もれているだけです。
見つけたキーワードの言葉に合わせて、サービス名やページタイトルを付け直します。社内の呼び方にこだわらず、お客さんが検索している言葉をそのまま使うのがコツです。
サービスごとに専用の下層ページを用意し、事例や利用シーンなどオリジナルのコンテンツを充実させます。他社のコピペではない、そのニーズの人に刺さる中身にすることが上位表示の決め手です。
最後に、見直しのときに使えるチェック項目をまとめておきます。自社の下層ページを一つずつ眺めながら、あてはまるか確認してみてください。
- サービス紹介の下層ページが、自社目線の商品説明だけで終わっていないか
- お客さんが実際に検索している言葉が、サービス名やページタイトルに入っているか
- 複数のニーズを1ページに押し込んでいないか(ニーズの数だけページがあるか)
- 各ページに事例・利用シーンなど、そのページ固有の中身があるか
- 検索数の大きいキーワードだけを追い、ニッチなCV直結ワードを捨てていないか
よくある質問(FAQ)
下層ページやサービス名のSEOについて、経営者の方からよくいただく質問をまとめました。
Q今あるサービス名を、検索キーワードに合わせて変えてしまって大丈夫ですか?
すでに指名検索が発生している主力サービス名は、無理に変える必要はありません。新しく専用ページを立てる場合や、埋もれているオプションを打ち出す場合に、検索ニーズの言葉を使うのが効果的です。既存の資産は残しつつ、増やす部分で検索ニーズを取り入れる、という考え方がおすすめです。
Q検索数が少ないニッチなキーワードでも、狙う意味はありますか?
大いにあります。検索数は少なくても、申込や相談に近いトランザクションキーワードは、コンバージョン率が高い傾向があります。ボリュームの大きい言葉は競合も強く上位表示が難しいですが、ニッチな組み合わせなら中小企業でも上位を狙え、しかも成約に近い人が集まります。
Q下層ページを頑張るなら、トップページのSEOはもう不要ですか?
そんなことはありません。トップページは会社の信頼や世界観を伝える大事な玄関です。ただ、成約に近い人が入ってくるのは具体的な検索をした先の下層ページであることが多いので、「トップも下層も両方大事」というのが正直なところです。今まで手薄だった下層に力を配分し直す、というイメージで捉えてください。
まとめ|サービス名は「検索されている言葉」で考える
15年前、電話代行のサービス名を検索ニーズから逆算して決めた話は、今振り返っても地味だけど確実に効いた施策でした。そして、その根っこにある「サービス名とページ構成は集客に直結する」という考え方は、今も色あせていません。
この記事の要点を、最後に3つに絞ってお伝えします。
- 集客の入口はトップより下層のサービスページ。検索ニーズを反映できているかが鍵
- サービス名は社内の呼び方ではなく、サジェストなど「検索されている言葉」で決める
- 意思決定が速い零細・中小企業ほど、この逆算の施策を機動的に実行できる
あなたの会社の下層ページは、検索ニーズを反映したページ構成になっているでしょうか。もし自社目線の商品説明で止まっているなら、一度お客さんの検索する言葉から見直してみる価値があります。零細・中小企業だからこそ、明日からでも機動的に手を打てる。それが何よりの強みだと、私は思っています。
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